はじめに
前回は「管理会計を導入しているか?」というテーマでお話しました。
今回はその管理会計を、さらに実践的で有効なものに進化させる方法として、
「部門別会計」に焦点を当てます。
管理会計を導入していても、
全社一括でしか数字を見ていなければ、経営判断の精度は大きく上がりません。
“どこが儲かっていて、どこが足を引っ張っているのか”
ここまで見えて、初めて管理会計は武器になります。
■事業・部門ごとに「数字の性格」はまったく違う
複数の事業や部門を持つ会社では、
- 粗利率
- 労働分配率
- 人件費構成
- 投資回収スピード
これらは部門ごとに大きく異なるのが普通です。
にもかかわらず、
全社の数字だけで経営判断をしてしまうと、
- 儲かっている部門の利益で
- 不採算部門の赤字を
- 無自覚に補填し続ける
という構造が生まれやすくなります。
■「稼ぎ頭」と「不採算部門」を見える化せよ
部門別会計の最大の価値は、
稼ぎ頭の部門と、不採算部門を明確に可視化できることです。
- どの部門が会社の利益を支えているのか
- どの部門が改善対象なのか
- 継続・改善・撤退の判断はどうか
これらを感覚ではなく、数字で判断できる状態をつくることが重要です。
経営判断が遅れれば遅れるほど、
不採算部門は会社全体の体力を確実に削っていきます。
判断の遅れは、致命傷になりかねません。
■部門別損益は「経営のレーダー」
部門別会計は、
経営者が状況を俯瞰するためのレーダーです。
- 売上が伸びているのか
- 利益率が悪化していないか
- 人件費が適正か
これらを部門単位で把握できれば、
「全社で何が起きているのか」が一瞬で分かります。
■部門長と数字を共有すると、組織は変わる
部門別会計の効果は、経営判断だけにとどまりません。
部門長と部門別損益を共有することで、組織の質が大きく変わります。
- 自部門の数字に責任を持つ
- 売上だけでなく利益を意識する
- コストや生産性を自ら考える
こうして、
「指示待ちの組織」から
「主体的に利益を生み出す組織」へと進化していきます。
■部門別会計は“経営者の分身”を育てる
部門別会計は、
経営者がすべてを管理するための仕組みではありません。
経営者の視点を、部門長にインストールする仕組みです。
部門長が数字を理解し、
数字をもとに判断し、
自ら改善策を考える。
この状態がつくれたとき、
会社は一段階上の成長フェーズに入ります。
■チェックポイント
✅ 部門別に売上・利益・粗利率を把握できているか?
✅ 稼ぎ頭の部門と不採算部門を明確に認識しているか?
✅ 部門別損益をもとに、迅速な経営判断ができているか?
✅ 部門長と数字を共有し、主体性を育てているか?
✅ 部門別会計を成長戦略に活用できているか?
■部門別会計は「成長を加速させる装置」
管理会計は、導入するだけでは意味がありません。
部門別に分解し、
意思決定と人材育成に使ってこそ、真価を発揮します。
数字が見える組織は、強い。
数字を共有できる組織は、さらに強い。
部門別会計は、
会社の成長スピードを一段引き上げるための、強力な装置です。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人