はじめに
経営者が最も意識すべきこと——
それは、「数字をいかに早く・正確に把握できるか」です。
どれだけ良い戦略を描いても、数字の把握が遅ければ経営判断は後手に回ります。
そして、いまの時代に「後手の経営」は命取りです。
■経営は“スピード勝負”の時代へ
かつては、景気が良く、多少どんぶり勘定でも経営は成り立ちました。
しかし、今は違います。
物価の変動、為替の揺れ、人件費の上昇——
経済情勢が日々変わる中で、数字をタイムリーに把握できない企業は淘汰される時代です。
だからこそ、月次決算の早期化は“経営の防衛力”であり、“攻めの武器”でもあります。
■理想は「日次決算」、最低限は「早期月次決算」
理想を言えば、経営者は売上・経費・利益を毎日確認できる“日次決算体制”を持つこと。
しかし実務上、それを完全に実現できる企業は多くありません。
だからこそ、まずは月次決算をできる限り早く締めることが重要です。
「前月の数字を翌月末にようやく見ている」では遅すぎます。
目安としては——
前月の数字を翌月10日までに把握できる体制
これが、強い会社の共通点です。
■月次決算の早期化がもたらす3つの効果
① 経営判断のスピードが上がる
早く数字を見られるほど、早く打ち手を講じられます。
② 現場の意識が変わる
「数字をすぐに確認される」という環境が、自然と緊張感と改善意識を生みます。
③ 資金繰り・利益構造の異常値を早期発見できる
トラブルや異常を“月次で即発見”できる体制は、リスク管理そのものです。
■早期化の鍵は「経理業務のDX化」
月次決算を早期化するには、経理業務の効率化が欠かせません。
紙・手入力・後追い処理では、スピード経営は実現できません。
- クラウド会計ソフトの導入
- 領収書・請求書の電子化、AI-OCRによる自動入力
- 銀行明細・クレジット取引の自動連携
- 経理担当者のリモート対応・システム化
これらのDX化は、単なる効率化ではなく、「数字を早く見る仕組み」そのものです。
■“早く締める会社”は“良い会社”
月次決算が早い会社ほど、組織の連携が取れ、管理精度が高く、社員の意識も高い傾向にあります。
「数字を出すスピード」は、会社の“健康度”そのものです。
逆に、数字が遅い会社は——
- 売上を感覚で把握している
- 経費が予算を超過しても気づかない
- 問題が起きても翌月まで動けない
という致命的なリスクを抱えます。
経営はスピード。
月次決算が1日早く締まるたびに、会社は1日分強くなる。
■チェックポイント
✅ 前月の数字を翌月早期(10日以内)に把握できているか?
✅ 経理・会計の仕組みがデジタル化されているか?
✅ 数字をもとに経営会議を「リアルタイム」で開けているか?
✅ 売上・経費・利益を感覚でなくデータで判断しているか?
✅ 数字のスピードを“経営の競争力”と捉えているか?
■「数字のスピード」が、経営の質を決める
早期月次決算は、単なる会計処理ではありません。
それは、経営の判断スピードを最大化するための“情報インフラ”です。
数字が早ければ、対策も早い。
数字が早ければ、成長も早い。
経営の現場にスピードを生み出す「月次決算の早期化」こそが、強い会社の共通言語です。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人