はじめに
前回の記事では、「粗利率を商品別・部門別に把握することの重要性」についてお伝えしました。
経営者が数字を把握することはもちろん大切ですが、
その“利益構造”を従業員(特に幹部層)にも理解してもらうことが、会社を強くする鍵です。
■「売上」ではなく「利益」で語れる組織へ
多くの現場では、
「売上が上がった」「今月は数字が良かった」
という言葉が飛び交います。
しかし、経営の本質は“売上”ではなく“利益”にあります。
どれだけ売上を上げても、粗利率が低ければ会社にはお金が残りません。
従業員一人ひとりが「利益を生む感覚」を持って行動できるようになれば、会社の体質は劇的に変わります。
■経営者だけが数字を知っていても意味がない
経営者が利益構造を完全に把握していても、
現場のスタッフがその構造を知らなければ、日々の判断や行動は変わりません。
- 「どの商品がどのくらい利益を生んでいるのか」
- 「固定費をまかなうためにどれだけ粗利が必要なのか」
- 「値引きやキャンペーンがどんな影響を与えるのか」
これらを現場が理解していれば、**“数字を意識した現場判断”**が自然と生まれます。
■少しの意識の違いが大きな成果を生む
たとえば、
- 原価を1%下げる工夫
- 仕入条件を見直す提案
- 無駄な残業や材料ロスを防ぐ取り組み
こうした小さな意識の積み重ねが、会社全体の利益を押し上げる力になります。
経営者だけが“利益の方程式”を理解していても意味がありません。
従業員全員が「利益とは何か」を理解することが、企業の持続的成長につながります。
■利益構造を共有する“仕組み”をつくる
利益構造を従業員に説明する場を、仕組みとして整えることが重要です。
たとえば:
- 月次ミーティングで「商品別粗利」や「部門別収益」を共有
- 幹部向けに「利益構造を学ぶ勉強会」を開催
- 数字を可視化した“利益マップ”を掲示・配信
このように、**「利益の見える化 × 社内共有」**を仕組みとして設計することで、
組織全体が“利益を生む文化”に変わります。
■チェックポイント
✅ 経営者自身が会社の利益構造を説明できるか?
✅ 幹部・社員に利益構造を共有する仕組みがあるか?
✅ 従業員が「利益」を意識して日々行動しているか?
✅ 小さな改善が会社全体の利益に繋がる意識が根づいているか?
✅ “売上”よりも“利益”で語る文化を作れているか?
■「数字を共有できる組織」は強い
数字を“管理”する経営から、数字を“共有”する経営へ。
経営者が利益構造を語り、従業員がその構造を理解して動けるようになれば、
組織は自律的に利益を生み出すチームへと進化します。
会社の利益は、経営者の頭の中だけにあるものではなく、
全員の意識と行動の積み重ねで生まれるものです。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人