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2026.08.19

【第65回】顧客の声を集めているか?

はじめに

「お客様は、うちの商品・サービスに満足してくれているはず。」

そう思っていても、実際に聞いてみると、経営者が想像していなかった答えが返ってくることがあります。

「実は、ここが少し使いづらかった。」

「この対応がとても嬉しかった。」

「もっとこんなサービスがあったら利用したい。」

こうした顧客の声には、会社をより良くするためのヒントが詰まっています。

商品開発、サービス改善、営業、マーケティング。

経営者だけで考えるのではなく、お客様から答えを教えてもらう。

顧客の声を継続的に集める仕組みは、会社を強くするための重要な経営資源になります。


■お客様の評価と会社の自己評価は違う

会社には、「自分たちが強みだと思っていること」があります。

例えば、「品質には自信がある。」「価格競争力がある。」「技術力なら負けない。」

ところが、お客様に選んだ理由を聞いてみると、

「担当者のレスポンスが早かったから。」

「説明が分かりやすかったから。」

「困ったときにすぐ相談できたから。」

という答えが返ってくることがあります。

つまり、会社が考える強みと、お客様が感じている価値は必ずしも一致しません。

だからこそ、自社の強みを知るためにも顧客の声を集める必要があります。


■不満の声こそ、大切な経営情報

経営者にとって、お客様からの厳しい意見を聞くことは決して楽しいことではありません。

しかし、本当に価値があるのは、むしろ不満や改善要望です。

例えば、

「問い合わせへの回答が遅い。」

「料金体系が分かりにくい。」

「担当者によって説明内容が違う。」

こうした声があれば、会社として改善すべきポイントが明確になります。

そして、一人のお客様が感じている不満を、他のお客様も感じている可能性があります。

一件のクレームを「そのお客様だけの問題」と考えるのではなく、会社を改善するための貴重な情報として捉える姿勢が重要です。


■声を集める「仕組み」をつくる

顧客の声は、待っているだけではなかなか集まりません。

満足しているお客様ほど、わざわざ連絡してくれるとは限らないからです。

そこで、会社側から聞く仕組みをつくります。

例えば、

  • 商品・サービス提供後にアンケートを送る
  • 定期的な打ち合わせで感想を聞く
  • 契約更新時に改善してほしい点を聞く
  • 営業担当者がお客様の声を社内共有する
  • 問い合わせやクレームを記録する
  • 解約時に理由を確認する

大掛かりなシステムは必要ありません。

まずは、「お客様に必ず一つ質問する」というルールから始めてもよいでしょう。


■「満足していますか?」だけでは足りない

アンケートを実施していても、「満足・普通・不満」だけでは、具体的な改善にはつながりにくいものです。

もう一歩踏み込んで、

「当社を選んだ決め手は何でしたか?」

「利用前に不安だったことは何ですか?」

「最も良かった点は何ですか?」

「改善してほしいことはありますか?」

「知人に紹介するとしたら、どのように説明しますか?」

と聞いてみましょう。

こうした質問から、お客様が本当に感じている価値や課題が見えてきます。

その言葉は、商品改善だけでなく、ホームページや営業資料を作る際にも非常に役立ちます。


■集めるだけでは意味がない

顧客アンケートを実施して、結果を保存して終わり。

これでは、せっかく集めた声を経営に活かせていません。

重要なのは、集める → 分析する → 改善する → 結果を確認するという流れをつくることです。

例えば毎月の会議で、「今月、お客様からどんな声があったか?」を共有するだけでも構いません。

その中から改善事項を一つ決め、担当者と期限を設定する。

小さな改善でも、それを積み重ねることでサービスの品質は着実に高まっていきます。


■良い声は、営業・採用にも活用できる

顧客の声は、改善のためだけに使うものではありません。

お客様から、「この会社に頼んで良かった。」という評価をいただいたのであれば、それは非常に強い営業材料になります。

本人の了承を得たうえで、ホームページの「お客様の声」に掲載したり、営業資料や採用資料で紹介したりすることもできます。

会社が自ら、「私たちは素晴らしい会社です。」と言うよりも、

実際のお客様が語る言葉の方が、はるかに説得力を持つことがあります。

顧客の声は、会社にとって貴重な「信用の資産」でもあるのです。


■経営者こそ、お客様の声に触れる

会社が大きくなるほど、経営者とお客様との距離は遠くなりがちです。

しかし、数字だけを見ていると、「なぜ売れているのか。」「なぜ選ばれなくなったのか。」が分からなくなることがあります。

売上高や利益率はもちろん重要です。

それと同じように、お客様が何を感じているのかを経営者自身が知ることも重要です。

定期的にお客様を訪問する。アンケート結果に目を通す。営業担当者から顧客の反応を聞く。数字と声。

その両方を見ることで、経営判断の精度はさらに高まります。


■チェックポイント

  • お客様の声を定期的に集める仕組みがあるか?
  • 良い評価だけでなく、不満や改善要望も聞いているか?
  • 「なぜ自社を選んだのか」を確認しているか?
  • 集めた声を社内で共有しているか?
  • 顧客の声から具体的な改善につなげているか?
  • 経営者自身がお客様の声を確認しているか?

■答えは、お客様の中にある

売上を伸ばしたい。

もっと良い商品をつくりたい。

サービスを改善したい。

自社の強みを知りたい。

その答えを、すべて会議室の中だけで考える必要はありません。

すでに自社の商品・サービスを利用してくれているお客様は、たくさんのヒントを持っています。

だからこそ、「どうすればもっと良くなりますか?」と聞いてみる。

そして、いただいた声を真摯に受け止め、改善する。

その繰り返しが、お客様との信頼関係を深め、会社の競争力を高めていきます。

顧客の声を「感想」で終わらせない。

経営に活かす情報として蓄積し、会社を強くする力に変えていきましょう。


更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人


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