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2026.08.21

【第66回】顧客満足度を測定しているか?

はじめに

「お客様には満足していただいていると思います。」

経営者の方とお話ししていると、このような言葉を聞くことがあります。

もちろん、日々お客様と接していれば、反応や会話からある程度の手応えを感じることはできます。

しかし、ここで一度考えてみてください。

その「満足していただいている」という判断に、客観的な根拠はあるでしょうか?

売上高や利益率、客数は毎月確認しているのに、顧客満足度については経営者や担当者の感覚だけで判断している会社は少なくありません。

お客様に選ばれ続ける会社をつくるためには、顧客満足度も経営上の重要な指標として捉え、定期的に測定することが大切です。


■「売れている=満足している」とは限らない

売上が伸びている。契約件数が増えている。だから、お客様は満足している。

必ずしもそうとは限りません。

例えば、競合が少ないから利用しているだけかもしれません。

立地が便利だから来店しているだけかもしれません。

取引先を変更するのが面倒だから契約を継続しているだけかもしれません。

その状態で競合他社からより魅力的な提案があれば、一気にお客様が離れてしまう可能性があります。

だからこそ、売上という「結果」だけではなく、お客様が自社をどのように評価しているのかを確認する必要があります。


■顧客満足度は「感覚」ではなく「数字」にする

顧客満足度は目に見えません。

だからこそ、できる限り数字にして定点観測することが重要です。

例えば、サービス提供後に、「今回のサービスにどの程度満足しましたか?」と質問し、5段階で評価してもらう方法があります。

非常に満足=5点
満足=4点
普通=3点
やや不満=2点
不満=1点

非常にシンプルですが、これを毎月、四半期、半年ごとなど継続的に集計すれば、

「以前より満足度が上がっている。」「最近、少し評価が下がっている。」といった変化を把握できます。

大切なのは、絶対的な点数だけではありません。

自社の顧客満足度がどの方向へ動いているのかを見ることです。


■数字と一緒に「理由」を聞く

顧客満足度を測定するときに、ぜひセットで聞いていただきたい質問があります。

それが、「なぜ、その評価をつけましたか?」という質問です。

例えば同じ「4点」でも、「商品は良かったが、納期がもう少し早ければ5点だった。」というお客様と、

「担当者の対応が非常に良かった。」というお客様では、会社が得られる情報がまったく違います。

点数は「現在地」を教えてくれます。

そして、お客様の言葉は「次に何を改善すべきか」を教えてくれます。

定量的な数字と定性的な声。

この両方をセットで見ることが重要です。


■顧客満足度は「平均」だけを見ない

例えば、100人のお客様から5段階評価を集めて、平均点が4.2点だったとします。

「4点を超えているから問題ない。」

と考えたくなるところですが、もう一段深く分析してみましょう。

例えば、既存顧客と新規顧客・商品別・店舗別・担当者別・顧客層別など、

こうした切り口で確認すると、「全体では4.2点だが、新規顧客だけ3.5点だった。」「A商品は高評価だが、B商品は評価が低い。」といった課題が見つかることがあります。

経営数字と同じで、顧客満足度も細分化することで初めて見えてくるものがあります。


■満足度と「行動」をセットで見る

さらに重要なのが、アンケート結果だけで判断しないことです。

お客様の本当の評価は、行動にも表れます。

例えば、

  • リピート率
  • 契約継続率
  • 解約率
  • 紹介件数
  • 購入頻度
  • 客単価

などです。

「満足しています」と回答していても、二度と購入していないのであれば、何か理由があるかもしれません。

反対に、アンケートには回答していなくても、何年も継続して利用し、知人まで紹介してくれているお客様は、自社を高く評価している可能性があります。

「お客様が何と言っているか」と「実際にどう行動しているか」。

両方を見ることで、顧客満足度をより正確に把握できます。


■満足度を測る目的は「点数を上げること」ではない

ここは非常に重要です。

顧客満足度を測定する目的は、アンケートの点数を上げることではありません。

目的は、「お客様にもっと喜んでもらうために、会社を改善すること」です。

例えば、「問い合わせへの回答が遅い」という声が多ければ、回答時間を短縮する。「説明が分かりにくい」という声があれば、資料や説明方法を見直す。「もっとこういうサービスが欲しい」という声があれば、新商品を検討する。

測定して、分析して、改善する。そして、再び測定する。

このサイクルを回すことで、会社の商品・サービスは少しずつ強くなっていきます。


■顧客満足度を経営会議の数字にする

売上高、粗利益率、営業利益、資金繰り。

これらは経営にとって非常に重要な数字です。

しかし、それだけを見ていると、「将来の売上」を見落とすことがあります。

今月の売上は、過去の営業活動の結果です。

一方、今のお客様の満足度は、これからのリピート、紹介、解約に影響する先行指標になり得ます。

だからこそ、「今月の顧客満足度はどうだったか?」、「低評価のお客様にはどんな共通点があったか?」、「先月決めた改善策は効果があったか?」といったことを、売上や利益と同じように定期的に確認してみてください。

顧客満足度が、単なるアンケートではなく経営指標に変わります。


■チェックポイント

✅ 顧客満足度を定期的に測定しているか?
✅ 満足度を点数などで数値化しているか?
✅ 点数だけでなく、その評価をつけた理由も聞いているか?
✅ 商品別・顧客層別・担当者別などで分析しているか?
✅ リピート率や解約率、紹介件数などの行動データも確認しているか?
✅ 集めた結果を具体的な改善につなげているか?


■顧客満足度は「未来の売上」を考えるための数字

会社経営では、どうしても売上や利益といった目の前の数字に意識が向きます。

もちろん、それらは極めて重要です。

しかし、会社が長く成長するためには、「今のお客様が、これからも自社を選び続けてくれるか?」という視点も欠かせません。

満足していただければ、また利用していただける。

さらに満足していただければ、誰かに紹介していただける。

その積み重ねが、広告だけに頼らない強い会社をつくっていきます。

だからこそ、「お客様は満足しているはず。」で終わらせない。

顧客満足度を経営の数字として追い続けることが、お客様から選ばれ続ける会社への第一歩です。


更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人


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