はじめに
ビジネスは、売上を計上したら終わり。
請求書を発行したら終わり。
……ではありません。
代金を回収するまでがビジネスです。
帳簿上の利益と、実際の現金は別物。
ここを理解していないと、黒字なのに資金が足りない、という事態に陥ります。
■売上は「回収して初めて完了」
売掛金とは、
「まだ受け取っていないお金」です。
売上を計上しても、
入金されなければ会社のキャッシュは増えません。
だからこそ、
- 請求漏れはないか
- 入金遅れはないか
- 滞留している債権はないか
を、定期的にチェックする仕組みが必要です。
債権管理を「なあなあ」にしてはいけません。
■回転率を意識しているか?
売上金の回収に時間がかかる(=サイトが長い)ということは、
無利子で得意先にお金を貸している状態
と同じです。
例えば、
月商1,000万円で回収サイトが60日なら、
常に約2,000万円を立て替えていることになります。
資金繰りの観点から見れば、
回収は早いに越したことはありません。
売掛金回転率や回収サイトを把握し、
改善できる余地がないか検討することが重要です。
■買掛金管理も同様に重要
一方で、買掛金(支払債務)の管理も徹底すべきです。
- 支払漏れ
- 支払遅れ
- 金額間違い
これらは、一瞬で信頼を失う行為です。
取引先との信頼関係は、
長年かけて築くもの。
しかし崩れるのは一瞬です。
支払予定表を整備し、
確実に支払える体制を構築しましょう。
■資金繰りの王道
資金繰りの基本原則はシンプルです。
- 売上代金の回収はできるだけ早く
- 仕入代金の支払いはできるだけ遅く
この差(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を短縮することが、
会社の資金余力を高めます。
ただし、
相手あってこそのビジネスです。
独りよがりな条件交渉や一方的な延長は、
長期的な関係を損ないます。
王道は、
双方にとって無理のない条件を探りながら、
健全なキャッシュフローを構築することです。
■売掛金・買掛金は「資金繰りの要」
売上や利益ばかりに目が向くと、
売掛金・買掛金は後回しにされがちです。
しかし実際には、
- 売掛金の増加
- 在庫の増加
- 買掛金の減少
この組み合わせが、資金を一気に圧迫します。
利益ではなく、キャッシュで会社は生きる。
この視点を忘れてはいけません。
■チェックポイント
✅ 売掛金の残高と回収状況を把握しているか?
✅ 売掛金回転率や回収サイトを意識しているか?
✅ 買掛金の支払管理を徹底しているか?
✅ 支払遅れや漏れが発生していないか?
✅ キャッシュ・コンバージョン・サイクルを理解しているか?
■数字の管理が、信頼と資金を守る
売掛金・買掛金の管理は、
単なる経理業務ではありません。
- 資金繰りを守る
- 信頼を守る
- 経営の安定を守る
極めて重要な経営活動です。
「回収して初めて売上」
「支払って初めて取引完了」
この意識を、会社全体で共有していきましょう。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人