はじめに
利益が出始めると、経営者の頭にまず浮かぶのが
「税金が高い」「何か節税できないか?」
という考えです。
この感覚自体は、決して間違いではありません。
しかし、節税だけに意識が向きすぎると、会社の成長を止めてしまうことがあります。
重要なのは、
節税と投資のバランスをどう取るかです。
■節税はキャッシュアウトを減らすが、支出を伴う
節税は、税金というキャッシュアウトを減らす効果があります。
ただし、多くの節税策は、
- 設備投資
- 保険加入
- 各種制度の活用
など、税金以上の支出を伴うケースが大半です。
「税金は減ったが、現金も減った」
という状態になっていないか、一度立ち止まって考える必要があります。
■キャッシュアウトを伴わない節税もある
一方で、すべての節税が支出を伴うわけではありません。
- 税額控除
- 特別控除
- 各種優遇税制
など、キャッシュアウトを伴わずに税負担を軽減できる制度も存在します。
これらは、
「使えるなら積極的に使うべき節税」
といえるでしょう。
■利益が出たときこそ、思考が分かれる
利益が大きく出そうなとき、
多くの経営者は反射的にこう考えます。
「税金を減らそう」
しかし、本当に考えるべきなのは次の問いです。
「この利益を、どう使えば会社はもっと強くなるか?」
■税金を減らすより、未来を作る投資を
そういうときこそ、
次なる売上拡大・利益確保・競争力強化のための投資を検討すべきです。
投資とは、
- 設備投資
- 人材投資
- 広告宣伝
- 試験研究
など、
投じたお金以上のリターンを期待して行う支出のことです。
単なる「支出」ではなく、
未来の利益を生むための行動が投資です。
■理想的な流れとは?
理想的なのは、次のような流れです。
- 利益が出る
- その利益を使って投資を行う
- 投資が将来の売上・利益を生む
- 結果として経費が増え、直近の税金も抑えられる
これは、
「節税のために支出する」のではなく、
「成長のために投資した結果、税金も抑えられる」という状態です。
■節税だけでは会社は強くならない
節税だけを目的にすると、
- 手元資金が減る
- 成長投資を先送りする
- 競争力が落ちる
といったリスクがあります。
大切なのは、
会社の体力を削らず、むしろ強くするお金の使い方です。
■バランスこそが経営判断
節税と投資、どちらが正しいという話ではありません。
重要なのはバランスです。
- 今は守るべきフェーズなのか
- それとも攻めるべきフェーズなのか
- キャッシュ余力はどの程度あるのか
これらを総合的に判断する必要があります。
■専門家と一緒に考える意味
「どんなバランスが良いか」は、
事業内容・成長段階・経営者の考え方によって異なります。
だからこそ、
伴走者である専門家の助言を仰ぎながら検討することが重要です。
税金だけを見るのではなく、
事業全体・将来像・キャッシュフローまで含めて考える。
それが、強い経営判断につながります。
■チェックポイント
✅ 節税のためだけの支出になっていないか?
✅ キャッシュアウトを伴わない節税を活用できているか?
✅ 利益を次の成長につなげる投資ができているか?
✅ 節税と投資のバランスを意識しているか?
✅ 専門家と一緒に経営判断をしているか?
■節税は目的ではなく、結果である
節税は、
経営を良くした結果としてついてくるものです。
税金を減らすこと自体が目的になってしまうと、
会社の未来を削りかねません。
未来を作る投資を行い、
その結果として税負担も適正化されている。
それが、健全で強い経営の姿です。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人