はじめに
設備投資、新規事業、広告宣伝、人材投資――
経営をしていると、さまざまな「投資判断」が日常的に求められます。
そのとき、
「なんとなく」「周りがやっているから」「今がチャンスな気がする」
そんな理由で投資を決めていないでしょうか。
もしそうであれば、それはどんぶり勘定経営への第一歩です。
■投資は“判断の質”で成果が決まる
投資そのものが悪いのではありません。
問題なのは、投資の判断基準が曖昧なまま実行されることです。
- 投資の目的は何か
- 何を達成したら成功なのか
- どのくらいの期間で回収する想定なのか
これらが整理されていなければ、
投資は「未来を作る行為」ではなく、
単なる支出になってしまいます。
■事業計画と予算の中で投資を考える
投資判断の土台として有効なのが、
事業計画と予算の存在です。
- 中長期の事業計画を描く
- 年度ごとの売上・利益目標を設定する
- その中で、どこに投資するかを決める
こうした流れの中で投資を行えば、
「思いつきの投資」ではなく、
計画に基づいた戦略的投資になります。
■投資対効果(ROI)を事前に考える
投資判断の基準として、
投資対効果を事前に予測するという考え方も非常に重要です。
- この投資はいくらの利益を生みそうか
- いつ頃、どの程度回収できそうか
- 最低限、どこまで成果が出れば合格なのか
完璧な予測はできなくても、
「一定以上の効果が見込めるなら投資する」
という基準を持つだけで、判断の質は大きく変わります。
■投資の種類によって基準は変えてよい
すべての投資を、同じ基準で判断する必要はありません。
- 設備投資:回収期間・稼働率
- 広告宣伝:CPA・LTV
- 人材投資:生産性・付加価値
- 新規事業:成長性・スケーラビリティ
投資の性質に応じて、評価軸を変えることも、
立派な戦略です。
■撤退基準を決めていない投資は危険
このテーマとは直接関係ないように見えますが、
事業投資において最も重要なことのひとつが「撤退基準」です。
- いつまでに
- どの数字に届かなければ
- 撤退・縮小するのか
これを決めずに始めた投資は、
「やめ時が分からず、傷口を広げる」
という結果になりがちです。
撤退基準は、投資判断の一部です。
■チェックポイント
✅ 投資を「なんとなく」で決めていないか?
✅ 事業計画・予算の中で投資を考えているか?
✅ 投資対効果を事前に予測しているか?
✅ 投資ごとに判断基準を持っているか?
✅ 撤退基準をあらかじめ定めているか?
■投資判断は、経営者の思考が最も表れる
投資の意思決定には、
経営者の価値観・覚悟・戦略がすべて表れます。
感覚で投資する経営と、
基準を持って投資する経営。
その差は、数年後に圧倒的な差となって現れます。
■基準を持つから、攻められる
投資の意思決定基準を明確にすることは、
投資を“抑制する”ためではありません。
正しく攻めるためです。
基準があるからこそ、
自信を持って投資し、
迷わず撤退し、
次の一手を打てるのです。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人