営業の成果は「受注件数」や「売上金額」で簡単に見える一方、
営業活動そのものは“見えにくい”仕事です。
だからこそ、営業力を高めたい企業に必要なのは、KPI(重要業績評価指標)の設定と見える化です。
■「結果」ではなく「行動」を管理する
多くの会社でよくあるのが、
「売上をもっと上げよう!」
「もっと頑張れ!」
という掛け声だけのマネジメント。
しかし、結果だけを見ても「どのように」「どれだけ」頑張ればいいかは分かりません。
成果を生むためには、結果に至る“行動”を数値化し、管理することが必要です。
■営業活動を細分化して可視化する
営業の成果を生むまでのプロセスを分解してみましょう。
例えば以下のように、営業活動は“階段構造”になっています。
- リード獲得数(見込み客への接点)
- アポイント件数
- 商談件数
- 提案書提出数
- 成約件数(受注)
- 売上金額
この一連の流れの中で、どの段階が弱点なのかを明確にできるのがKPI設定の強みです。
「商談数は十分なのに受注率が低い」
→ 提案内容や見積もりの精度が課題。
「アポイントが少ない」
→ 集客・アプローチ方法の見直しが必要。
このように、営業活動を構造的に見える化することで、改善の打ち手が具体化されます。
■KPIは「行動目標」に落とし込む
KPIは、数字を管理するだけのものではありません。
チーム全員が日々の行動を決めるための“道標”です。
たとえば、
- 1日あたりのアプローチ件数
- 週あたりの商談数
- 月あたりの新規顧客訪問目標
など、チームのメンバーが即行動できるレベルまで具体化することがポイントです。
これにより、
「何を」「どのくらい」「いつまでに」やればいいかが明確になり、
チーム全体の動きが揃います。
■KPIの見える化がチームを動かす
KPIを設定したら、“見える化”して共有する仕組みが不可欠です。
- ダッシュボードで進捗を一覧化する
- 週次ミーティングで共有・振り返りを行う
- 達成状況を可視化してモチベーションを高める
営業チームは、数値が見えることで動き出します。
「頑張る」ではなく、「どこまで進んでいるか」「あと何をすればよいか」が明確になることで、組織は結果を出す集団へと進化します。
■チェックポイント
✅ 営業の「行動KPI」を設定しているか?
✅ KPIをメンバー全員で共有・可視化できているか?
✅ 成果が出ない時に、どのプロセスが原因かを把握できているか?
✅ KPIが「行動の指針」として機能しているか?
■KPIを設定することは、営業を“科学する”こと
営業は「気合い」や「センス」でやる時代ではありません。
行動を数値化し、データを分析しながら改善を重ねることで、再現性のある強い営業組織が生まれます。
KPIの設定は、営業力を属人化から組織化へ変える第一歩。
チーム全員が「どこに向かって」「何をすればいいか」を理解して動ける状態をつくりましょう。
更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人