WATT Tax & Accounting Firm

SCROLL

2026.09.25

【第76回】顧客との接点を複数持っているか?

はじめに

「良い商品を提供しているのに、なかなかリピートにつながらない。」

「一度取引したお客様と、その後ほとんど接点がない。」

「必要になったら、また思い出してもらえるはず。」

もし、このような状態になっているのであれば、一度考えてみたいことがあります。

お客様は、本当に自社のことを覚えてくれているでしょうか。

どれだけ良い商品・サービスを提供しても、お客様との接点が一度きりであれば、時間とともに記憶は薄れていきます。

そして次に必要になったとき、検索で見つけた別の会社や、最近営業に来た会社を選ぶかもしれません。

だからこそ重要なのが、お客様との接点を意図的に複数つくることです。

ホームページ、SNS、メール、電話、訪問、セミナー、ニュースレター。

接点を増やすことは、単に営業回数を増やすことではありません。

「困ったときに思い出してもらえる会社」になるための仕組みづくりなのです。


■「良い仕事をすれば、また連絡が来る」とは限らない

例えば、3年前に一度だけ取引したお客様がいるとします。

そのときの満足度は非常に高かった。

担当者も、

「また何かあればお願いします。」

と言ってくれた。

それでも、3年間まったく接点がなければどうでしょうか。

次に同じニーズが発生したとき、自社の名前をすぐに思い出してもらえるとは限りません。

一方、取引後も、

定期的にメールが届く。

SNSで情報を目にする。

半年に一度担当者から連絡が来る。

セミナーの案内が届く。

こうした接点があれば、

「あの会社に相談してみよう。」

と思い出してもらえる可能性は高まります。

選ばれるためには、まず思い出してもらわなければなりません。


■接点は「営業」だけではない

顧客接点というと、

電話営業。

訪問営業。

DM。

といった売り込みを想像するかもしれません。

しかし、お客様との接点はそれだけではありません。

例えば、

  • ホームページのブログ
  • メールマガジン
  • SNS
  • ニュースレター
  • セミナー
  • イベント
  • 定期訪問
  • アフターフォロー
  • 季節の挨拶
  • 商品のメンテナンス案内

なども立派な接点です。

重要なのは、毎回、

「買ってください。」

「契約してください。」

と伝えることではありません。

むしろ、

「お客様に役立つ情報を届ける」

という接点を増やすことが大切です。

役立つ情報を継続的に届ける会社は、営業されている会社ではなく、相談できる会社として認識されるようになります。


■一つの接点だけに依存しない

例えば、これまで顧客との接点を担当営業者の訪問だけに頼っていたとします。

担当者が忙しくなれば、訪問頻度は下がります。

担当者が退職すれば、関係性そのものが弱くなる可能性もあります。

SNSだけに頼る場合も同じです。

投稿しても、すべてのお客様が毎回見てくれるわけではありません。

だからこそ、

複数の接点を組み合わせることが重要です。

例えば、

月1回:メールマガジン
週1回:SNS投稿
3か月に1回:ニュースレター
半年に1回:担当者から連絡
年1回:顧客向けセミナー

という形です。

すべての会社がこの頻度で実施する必要はありません。

大切なのは、自社のお客様に合わせて「忘れられない仕組み」を設計することです。


■具体例:年1回の契約更新だけが接点になっていないか

例えば、毎年契約更新があるサービスを提供している会社を考えてみます。

顧客との接点が、

契約時
↓
1年間ほぼ連絡なし
↓
更新時に「今年もお願いします」

だけだったらどうでしょうか。

お客様からすると、

「この1年間、何をしてくれた会社だったかな?」

となる可能性があります。

一方、

契約1か月後:利用状況の確認
3か月後:役立つ情報をメール
6か月後:フォロー面談
9か月後:改善提案
11か月後:次年度の相談
12か月後:契約更新

という流れであれば、同じサービスでもお客様が感じる価値は大きく変わります。

商品そのものだけでなく、契約後の接点まで含めてサービスを設計する。

この視点が、継続率や顧客満足度の向上につながります。


■「必要になった瞬間」に思い出してもらえるか

お客様が商品・サービスを必要とするタイミングは、会社側では完全にコントロールできません。

今日かもしれません。

半年後かもしれません。

3年後かもしれません。

だからこそ、必要になる前から関係をつくっておく必要があります。

例えば住宅会社であれば、

家を建てた後も、メンテナンス情報や暮らしに役立つ情報を届ける。

自動車販売会社であれば、

購入後も点検、車検、買い替え時期などで接点を持つ。

BtoB企業であれば、

業界情報や制度変更、成功事例などを定期的に届ける。

その積み重ねによって、

「そういえば、あの会社に聞いてみよう。」

という状態をつくります。

営業は、お客様が必要になった瞬間から始まるのではありません。

必要になる前から始まっているのです。


■接点を「顧客ステージ」に合わせる

すべてのお客様に同じ情報を届ければよいわけでもありません。

例えば、

まだ自社を知らない人。

問い合わせをした人。

初めて購入した人。

何度も購入している人。

長年取引している重要顧客。

それぞれ必要な情報は違います。

問い合わせ前の人には、自社の考え方や事例。

検討中の人には、料金や導入事例、よくある質問。

契約直後の人には、利用方法やサポート情報。

既存顧客には、活用方法や追加サービス。

長期顧客には、新しい提案や感謝を伝える機会。

このように、顧客との関係性に合わせて接点を設計すると、一方的な情報発信ではなくなります。


■「誰とも接点がない顧客」を見つける

顧客との接点を増やすとき、ぜひ一度やっていただきたいことがあります。

顧客一覧を開き、

「最後に接点を持った日はいつか?」

を確認することです。

例えば、

3か月以内。

半年以内。

1年以内。

1年以上。

という形で分類してみます。

すると、

「優良顧客なのに1年以上連絡していない。」

「以前はよく注文してくれていたお客様と半年以上接点がない。」

といったことが見えてくるかもしれません。

新規顧客を探す前に、すでに関係のあるお客様との接点を見直す。

そこに売上の機会が眠っていることもあります。


■接点を持つこと自体を目的にしない

ここで注意したいことがあります。

「接点を増やせばいい。」

と考えて、毎週営業メールを送り続ければ、お客様に嫌がられる可能性があります。

重要なのは、接点の数だけではなく質です。

お客様にとって、

役立つ。

面白い。

必要なタイミングだった。

自分のことを考えてくれていると感じる。

そんな接点になっているかを考えましょう。

「会社が伝えたい情報」だけではなく、

「お客様が受け取りたい情報は何か?」

という視点が必要です。

接点を増やすことは、営業圧力を高めることではありません。

お客様との関係を少しずつ深くすることなのです。


■接点を仕組みにする

顧客フォローを、

「時間があったら連絡する。」

としていると、忙しい会社ほど後回しになります。

そこで、仕組みにします。

例えば、

契約30日後にフォロー。

3か月後にメール。

半年後に面談。

1年間購入がなければ担当者へ通知。

誕生月や周年にメッセージ。

契約更新3か月前からフォロー開始。

といったルールを決めます。

CRMなどを活用すれば、自動的に対象顧客を抽出することもできます。

大切なのは、

「担当者が覚えているかどうか」に顧客との関係を依存させないこと。

会社として接点を管理できる状態をつくりましょう。


■接点が売上につながっているかも確認する

接点を増やしたら、その成果も確認します。

例えば、

メールマガジンから何件問い合わせがあったか。

セミナー参加者から何件商談につながったか。

休眠顧客への連絡から何件再受注したか。

既存顧客への定期面談から何件追加提案につながったか。

こうした数字を確認すれば、

「どの接点がお客様との関係づくりに役立っているのか」

が分かります。

効果の高い接点には力を入れる。

反応の低いものは内容や頻度を改善する。

顧客接点もPDCAを回しながら磨いていくことが重要です。


■チェックポイント

  • 契約・購入後もお客様との接点を持っているか?
  • 電話や訪問以外にも複数の接点があるか?
  • 顧客との関係性に応じて情報を出し分けているか?
  • 最後にいつ接点を持ったか把握できているか?
  • 長期間接点のない顧客を把握しているか?
  • 売り込みだけではなく、役立つ情報を提供しているか?
  • 顧客フォローを担当者の記憶ではなく仕組みで管理しているか?
  • 各接点が問い合わせ・再購入・紹介などにつながっているか確認しているか?

■まとめ|「思い出してもらえる会社」になる

お客様との関係は、契約した瞬間に完成するものではありません。

むしろ、そこから始まります。

良い商品を提供する。

良いサービスを提供する。

それは当然、大切です。

しかし、それだけでなく、

取引後も役立つ情報を届ける。

困っていないか声を掛ける。

新しい提案をする。

感謝を伝える。

そうした小さな接点を積み重ねることで、会社とお客様との関係は強くなっていきます。

そして、お客様に何か困りごとが生まれたとき、

「まず、あの会社に相談してみよう。」

と思い出していただける。

これは非常に強い状態です。

新しいお客様を探し続けることだけが営業ではありません。

すでに出会ったお客様との関係を、丁寧に育て続けることも営業です。

まずは顧客一覧を開いてみてください。

そして、

「このお客様と最後に話したのは、いつだろう?」

と確認してみましょう。

もし長い間接点がないお客様がいるのであれば、一本の電話、一通のメールから関係が再び動き出すかもしれません。

お客様とのご縁を、一度の取引で終わらせない。

その積み重ねが、長く選ばれ続ける会社をつくります。


更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人

税務・会計・経営に関する無料相談を受け付けています。

「新規顧客の獲得だけでなく既存顧客との関係も強化したい」「売上・継続率・顧客管理を数字で見直したい」「会社を継続的に成長させる仕組みを一緒に考えたい」など、経営に関するお悩みもお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

関連記事

関連タグ