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2026.09.16

【第73回】SNSを効果的に活用しているか?

はじめに

「SNSはやった方がいいと思うけれど、何を発信すればいいか分からない。」

「投稿はしているけれど、売上につながっている実感がない。」

「忙しくなると更新が止まってしまう。」

中小企業の経営者から、こうした声を聞くことがあります。

Instagram、X、Facebook、YouTube、TikTokなど、SNSは今や企業にとって身近な情報発信手段になりました。

しかし、アカウントを開設して投稿を続けるだけでは、必ずしも成果にはつながりません。

重要なのは、フォロワーを増やすことそのものではなく、「誰に、何を伝え、最終的にどんな行動につなげたいのか」を明確にすることです。

SNSを単なる広報活動で終わらせず、会社の認知、信頼、採用、そして売上につながる経営資産へ育てていきましょう。


■まず「何のためにSNSをやるのか」を決める

SNS活用で最初に決めたいのは、投稿内容ではありません。

目的です。

例えば、

  • 自社を知ってもらいたい
  • 商品・サービスへの問い合わせを増やしたい
  • 店舗への来店を増やしたい
  • 採用応募を増やしたい
  • 既存顧客との関係を深めたい
  • 経営者や社員の人柄を伝えたい

など、会社によって目的は異なります。

ここが曖昧なまま、

「とりあえず毎日投稿しよう。」

と始めてしまうと、次第に投稿すること自体が目的になってしまいます。

例えば採用が目的なら、商品の宣伝ばかりでは十分ではありません。

社員の働く姿や社内の雰囲気、仕事への想い、入社後の成長イメージなどを発信した方が、求職者には伝わりやすいでしょう。

目的が変われば、発信すべき内容も変わる。

まずはここを明確にすることがスタートです。


■すべてのSNSをやる必要はない

「InstagramもXもFacebookもYouTubeもやった方がいいですか?」

答えは、必ずしもそうではありません。

中小企業の人員や時間は限られています。

大切なのは、たくさんのSNSに手を広げることではなく、自社のお客様がいる場所へ集中することです。

例えば、写真や動画で商品の魅力を伝えやすい業種と、専門的な情報発信から信頼を積み上げる業種では、相性の良い媒体や発信方法が違います。

さらに、BtoCなのかBtoBなのか、顧客の年齢層はどこなのか、採用目的なのか営業目的なのかによっても変わります。

流行しているSNSだから始めるのではなく、

「自社が届けたい相手は、どこにいるのか?」

から考えましょう。


■「売り込み」ばかりになっていないか

企業SNSでありがちなのが、

「新商品発売!」

「キャンペーン実施中!」

「お問い合わせはこちら!」

という投稿ばかりになってしまうことです。

もちろん、商品やサービスの案内も必要です。

しかし、毎回広告のような投稿ばかりでは、フォローし続けたいとは思ってもらいにくいでしょう。

例えば製造業であれば、

製品が完成するまでの工程。

職人の技術。

品質管理へのこだわり。

よくあるお客様の悩み。

社員の仕事風景。

飲食店なら、

食材へのこだわり。

仕込みの様子。

商品の楽しみ方。

スタッフの紹介。

商品の開発秘話。

なども立派なコンテンツです。

「自社が言いたいこと」だけではなく、「お客様が知りたいこと」を発信する。

この視点が非常に重要です。


■SNSは「会社の人柄」を伝えられる

ホームページやパンフレットでは、どうしても情報が整ったものになりやすくなります。

一方、SNSでは日々の仕事や社員の様子、経営者の考え方などを継続的に伝えることができます。

これは中小企業にとって大きな強みです。

例えば初めて問い合わせをするお客様は、

「どんな会社なんだろう?」

「どんな人が対応してくれるんだろう?」

という不安を持っています。

そのとき、SNSで社員の顔や仕事への考え方を知っていれば、問い合わせへの心理的なハードルが下がることがあります。

特に、商品そのものだけでは差別化しにくい業種ほど、

「誰から買うか」「誰にお願いするか」

が選ばれる理由になります。

SNSは、その「人」を伝えることができる媒体なのです。


■具体例:投稿から問い合わせまでの導線をつくる

例えば、ある会社がInstagramで専門知識を発信しているとします。

投稿を見た人が、

「この会社、詳しそうだな。」

と思った。

プロフィールを見る。

ホームページへ移動する。

サービス内容を確認する。

問い合わせをする。

ここまでつながって初めて、SNSが営業活動の一部になります。

ところが、

プロフィールに何の会社なのか書かれていない。

ホームページへのリンクが分かりにくい。

ホームページへ移動しても問い合わせ先が見つからない。

これでは、せっかく興味を持ってもらっても機会を逃してしまいます。

SNS単体で考えるのではなく、

SNS → プロフィール → ホームページ → 問い合わせ

という一連の導線を確認しましょう。


■フォロワー数だけを追いかけない

SNSを始めると、どうしても気になるのがフォロワー数です。

もちろん、多くの人に情報が届くことには価値があります。

しかし、

フォロワー1万人、問い合わせ0件。

フォロワー1,000人、毎月10件問い合わせ。

会社にとってどちらが価値があるでしょうか。

目的が売上や問い合わせなら、見るべき数字はフォロワー数だけではありません。

例えば、

  • 投稿の閲覧数
  • 保存数
  • プロフィール閲覧数
  • ホームページへの流入数
  • 問い合わせ件数
  • 来店件数
  • 採用応募数
  • 契約件数

などです。

SNSでも、最終的な経営成果まで数字をつなげることが重要です。


■「何を見て問い合わせたか」を確認する

SNSの効果を測るために、ぜひ実践してほしいことがあります。

それは、新規のお客様に、

「当社を何で知りましたか?」

と聞くことです。

問い合わせフォームに選択欄を設けても構いません。

「Instagramを見ていました。」

「社長の投稿を以前から読んでいました。」

という回答が積み上がれば、SNSがどの程度顧客獲得に貢献しているのか分かります。

さらに、

「どんな投稿を見て問い合わせようと思いましたか?」

まで聞ければ、次の発信内容を考えるヒントにもなります。

SNSも感覚ではなく、数字と顧客の声の両方で改善していくことが大切です。


■継続するために「仕組み化」する

SNS活用で最も難しいことの一つが、継続です。

最初は毎日投稿していたのに、

本業が忙しくなる。

ネタがなくなる。

担当者が変わる。

そして更新が止まる。

よくあるパターンです。

そこで、投稿を個人のやる気に頼らない仕組みをつくります。

例えば、

毎週月曜日に翌週分のネタを決める。

投稿テーマを「商品」「お客様の悩み」「社員」「会社の想い」などに分類する。

写真を日常的にストックする。

月に一度、まとめて投稿案を作る。

担当者と確認者を決める。

といった方法です。

毎日投稿することよりも、無理なく半年、1年と続けられる体制をつくることの方が重要です。


■経営者の発信も大きな武器になる

中小企業では、経営者自身がSNSに登場することも有効です。

なぜこの事業をしているのか。

どんな会社をつくりたいのか。

仕事で何を大切にしているのか。

どんなお客様の力になりたいのか。

こうした内容は、会社公式の文章だけでは伝えにくいものです。

経営者自身の言葉で継続的に発信することで、お客様だけでなく、採用候補者や取引先にも会社の価値観が伝わります。

SNSは、広告媒体であると同時に、経営者と会社の信用を積み上げる場所でもあるのです。


■炎上・誤投稿への備えも忘れない

SNSには大きな可能性がある一方で、リスクもあります。

社員が会社の機密情報を投稿する。

お客様が写った写真を無断で掲載する。

感情的な投稿をしてしまう。

個人アカウントと会社アカウントを間違える。

こうしたトラブルが起こる可能性もあります。

そのため、

「何を投稿してよいのか。」

「誰が投稿するのか。」

「投稿前に誰が確認するのか。」

「問題が起きた場合に誰が対応するのか。」

といった最低限のルールは決めておきましょう。

攻めるためにも、守りの仕組みは必要です。


■チェックポイント

  • SNSを活用する目的を明確にしているか?
  • 自社のターゲットに合ったSNSを選んでいるか?
  • 宣伝だけでなく、お客様に役立つ情報を発信しているか?
  • 経営者や社員など「人」が見える発信をしているか?
  • SNSからホームページ・問い合わせまでの導線を整えているか?
  • フォロワー数だけでなく、問い合わせや契約への貢献を測っているか?
  • 継続して発信できる仕組みをつくっているか?
  • 投稿内容や情報管理について最低限のルールを決めているか?

■まとめ|SNSを「投稿する場所」から「信頼を積み上げる場所」へ

SNSは、投稿すればすぐに売上が増える魔法の道具ではありません。

しかし、

お客様に役立つ情報を届ける。

会社の考え方を伝える。

社員や経営者の人柄を知ってもらう。

そして、それを継続する。

この積み重ねによって、

「この会社、いつも良い情報を発信しているな。」

「何かあったら、この会社に相談してみよう。」

という信頼が少しずつ生まれていきます。

そして、その信頼が問い合わせや採用、紹介につながる瞬間があります。

大切なのは、バズることではありません。

自社が本当に届けたい相手へ、価値ある情報を届け続けること。

SNSを「何を投稿しよう?」から考えるのではなく、

「誰に、どんな価値を届け、その先でどんな関係を築きたいのか?」

から考えてみてください。

フォロワーという数字の向こう側にいるのは、一人ひとりのお客様です。

その一人に届く発信を積み重ねることが、やがて会社の大きな力になっていきます。


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