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2026.09.04

【第70回】マーケティングのPDCAを回しているか?

はじめに

「広告を出したけれど、思ったほど問い合わせが来なかった。」

「SNSを始めたけれど、売上につながっているのか分からない。」

「ホームページを作ったものの、その後ほとんど見直していない。」

中小企業のマーケティングでは、このようなことが少なくありません。

新しい施策を始めることには熱心でも、その結果を振り返り、次の改善につなげるところまでできている会社は意外と多くありません。

しかし、マーケティングは一発勝負ではありません。

最初から大成功する施策を当てることよりも、小さく試し、数字を確認し、改善を積み重ねることの方が重要です。

その基本となるのが、PDCAを回すことです。


■「やりっぱなし」のマーケティングになっていないか

例えば、30万円を使って広告を出したとします。

その結果、問い合わせが10件あり、3件が契約につながりました。

ここで、「3件契約できたから良かった。」で終わってはいけません。

確認したいのは、

「1件の問い合わせを獲得するために、いくらかかったのか?」

「問い合わせから契約につながった割合は?」

「3件の契約から、どれだけの売上・利益が見込めるのか?」

「別の広告媒体と比べて効率は良かったのか?」

といったことです。

マーケティング施策は、実施したことではなく、結果と次の改善まで確認して初めて一つの仕事が完了すると考えましょう。


■PDCAをマーケティングに当てはめる

PDCAとは、

Plan(計画)
Do(実行)
Check(検証)
Action(改善)

の頭文字を取ったものです。

マーケティングで考えると、例えば次のようになります。

Plan:
新規顧客を増やすため、月10万円のWeb広告を実施する。目標問い合わせ数は10件、目標契約数は3件。

Do:
広告を1か月間配信する。

Check:
広告費10万円に対して問い合わせ8件、商談5件、契約2件だった。

Action:
反応の良かった広告文を残し、反応の悪かった広告を変更する。問い合わせ後の商談化率も改善する。

そして、また次のPlanにつなげます。

難しく考える必要はありません。

大切なのは、「やってみた結果、どうだったか。では、次に何を変えるか」までセットで考えることです。


■まず「何を成功とするか」を決める

PDCAがうまく回らない大きな原因の一つが、最初に目標を決めていないことです。

例えば、

「Instagramを頑張る。」

「ブログを増やす。」

「チラシを配る。」

これだけでは、後から成果を判断できません。

何をもって成功とするのかを、できる限り数字で決めましょう。

例えば、

  • ホームページへのアクセス数
  • 問い合わせ件数
  • 資料請求件数
  • 商談件数
  • 契約件数
  • 顧客獲得単価
  • 売上高
  • 粗利益

などです。

SNSであればフォロワー数だけを見るのではなく、

「そこから何件問い合わせにつながったのか」

まで追えると、経営判断に使える数字になります。


■「売上」までの途中経過を見る

マーケティング施策の評価を、

「売上が増えたか、増えなかったか。」

だけで判断すると、改善点が分かりません。

例えば、

広告

ホームページ訪問

問い合わせ

商談

契約

という流れがあるとします。

広告からホームページへの流入は多いのに問い合わせが少ないのであれば、ホームページの内容や導線に問題があるかもしれません。

問い合わせは多いのに契約につながらないのであれば、営業プロセスや提案内容に課題がある可能性があります。

マーケティングでは、最終結果だけでなく、お客様が契約に至るまでの各段階を数字で見ることが重要です。


■具体例:同じ30万円でも成果はまったく違う

例えば、A社とB社がそれぞれ30万円の広告費を使ったとします。

A社は、

広告費30万円
問い合わせ30件
契約10件
契約1件あたりの粗利益10万円

だったとします。

この場合、契約から得られる粗利益は100万円です。

一方、B社は、

広告費30万円
問い合わせ50件
契約3件
契約1件あたりの粗利益5万円

だったとします。

問い合わせ件数だけを見るとB社の方が優秀です。

しかし、契約後の粗利益まで見れば評価は変わります。

だからこそ、マーケティングでは「反応が多かった」だけで判断してはいけません。

最終的に会社へどれだけの利益をもたらしたのか。

経営者は、そこまで見る必要があります。


■一度に全部変えない

改善するときに、

広告文を変える。画像を変える。ターゲットを変える。価格を変える。ホームページも変える。

と、一度にすべて変更してしまうと、何が成果につながったのか分からなくなります。

可能であれば、「今回は広告文を変えてみる。」「次は問い合わせフォームを改善してみる。」

というように、仮説を立てて一つずつ試します。

仮説 → 実行 → 検証を繰り返すことで、自社なりの「勝ちパターン」が少しずつ見えてきます。


■失敗した施策にも価値がある

マーケティングでは、すべての施策が成功するわけではありません。

10万円使った広告から、問い合わせが1件も来ないこともあるでしょう。

しかし、「10万円を無駄にした。」だけで終わらせる必要はありません。

なぜ反応がなかったのか。ターゲットが違ったのか。メッセージが弱かったのか。媒体が合っていなかったのか。タイミングが悪かったのか。

そこまで考え、次の施策に反映できれば、その失敗は会社にとって学習コストになります。

本当に避けるべきなのは、失敗することではありません。

結果を検証せず、同じ失敗を繰り返すことです。


■マーケティング費用を「経費」で終わらせない

決算書を見ると、広告宣伝費は「費用」として表示されます。

しかし、経営上は単なる経費として見るだけでは不十分です。

例えば年間300万円の広告宣伝費を使っているのであれば、

「その300万円から、いくらの売上が生まれたのか?」

「粗利益はいくら増えたのか?」

「何社の新規顧客を獲得できたのか?」

「そのお客様は翌年以降も取引を続けてくれるのか?」

まで考えてみましょう。

数字を追えるようになれば、「広告費を削減するか?」という議論から、

「利益が出る広告なら、もっと投資できないか?」という経営判断へ変わります。

マーケティングを費用ではなく、投資として管理する視点が重要です。


■月に一度「マーケティング会議」をする

PDCAを回すためには、振り返る時間を意図的につくることも有効です。

月に一度でも構いません。

例えば、

「今月、何を実施したか?」

「いくら使ったか?」

「問い合わせは何件だったか?」

「何件契約したか?」

「どの施策が最も成果につながったか?」

「来月は何を続け、何をやめ、何を変えるか?」

を確認します。

30分でも、この時間を毎月確保するだけでマーケティングの精度は大きく変わります。

PDCAは、仕組みにしなければ忙しさに負けます。

だからこそ、振り返りまで予定に入れてしまいましょう。


■チェックポイント

  • マーケティング施策ごとに目的を明確にしているか?
  • 実施前に目標数値を設定しているか?
  • 広告費だけでなく、問い合わせ数・商談数・契約数まで追っているか?
  • 売上だけでなく、粗利益まで確認しているか?
  • 結果が良かった理由・悪かった理由を分析しているか?
  • 改善策を決め、次の施策で実行しているか?
  • 定期的にマーケティングを振り返る時間を設けているか?

■まとめ|「当てる会社」ではなく「改善できる会社」へ

マーケティングに、絶対に成功する方法はありません。

市場も変わります。競合も変わります。お客様の価値観も変わります。

昨日まで成果が出ていた方法が、明日も通用するとは限りません。

だからこそ必要なのは、一発で正解を当てる能力ではありません。

試して、数字を見て、改善し続ける力です。

Plan。Do。Check。Action。そして、またPlanへ。

このサイクルを速く、粘り強く回せる会社ほど、自社に合った集客方法や営業方法を蓄積していくことができます。

マーケティングを「広告を出すこと」で終わらせない。

マーケティングを、会社が学び続ける仕組みにする。

まずは今月行ったマーケティング施策を一つ選び、

「目的は何だったか?」

「結果はどうだったか?」

「次は何を変えるか?」

この3つを書き出すところから始めてみてください。

その小さな改善の積み重ねが、やがて大きな差になります。


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税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人

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