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2026.09.21

【一口税務メモ】ふるさと納税の返礼品ルールが2026年10月に厳格化

【この記事の重要ポイント】
・2026年(令和8年)10月1日より、ふるさと納税の返礼品の基準(地場産品基準)が厳格化されます。加工品やロゴ入りグッズは掲載終了・寄附額変更の可能性があります。
・自治体の経費ルール(通称「6割ルール」)も始まります。ただし2026年10月は4段階のうちの第一段階で、影響は数年かけて進みます。
・控除限度額はその年の所得が確定して初めて決まります。超過分は全額自己負担です。
・特に個人事業主の方は、駆け込み寄附の前に今年の所得見込みの試算を。年末まで所得が確定せず、限度額の絶対額も小さいため、超過のリスクが高くなります。

ふるさと納税が2026年(令和8年)10月に大きなルール変更を迎えます。2025年10月の「ポータルサイトの独自ポイント付与禁止」に続く見直しで、今回は返礼品の基準と、自治体が使える寄附金の割合が中心です。

「10月から返礼品が減る」といった情報も目にします。ただし実際には、すぐ影響が出るものと、数年かけて効いてくるものが混在しています。税理士事務所WATTが、判断に使える形で整理します。

ふるさと納税 2026年10月改正の2つのポイント

① 地場産品基準の明確化(すぐ影響が出る)

ふるさと納税の返礼品は「その自治体の地場産品であること」が条件です。10月からは、この判断が厳しくなります。特に影響が大きいのは次の2つです。

加工品:区域内で「過半」の付加価値が必要に
区域外の原材料を使った加工品は、価値の過半が区域内の工程で生じていることが求められます。付加価値の割合は原則として価格に基づいて算定します。あわせて、製造者による証明と自治体による公表も必要になります。

ロゴ入りグッズ:販売実績が必要に
既製品に自治体のロゴやキャラクターを印字しただけの品も対象です。1年以内の販売・配布実績があり、その数量の範囲内でなければ提供できなくなります。

証明や公表といった事務負担も加わります。そのため、基準を満たせない返礼品は9月末で掲載終了となったり、寄附金額が引き上げられたりする可能性があります。お目当ての品がある場合は、早めに確認しておくとよいでしょう。

② 「6割ルール」の開始(じわじわ効いてくる)

現在、自治体の募集経費は寄附額の5割以下と定められています。言い換えると、自治体が地域の事業に使える額が5割以上です。これが最終的に「6割以上」へ引き上げられます。ただし、10月からいきなり6割になるわけではありません。

  • 2026年10月~:52.5%以上(経費は47.5%以下)
  • 2027年10月~:55%以上
  • 2028年10月~:57.5%以上
  • 2029年10月~:60%以上(経費は40%以下)

2026年10月の変化は2.5ポイントです。返礼品の原資が圧迫される方向であることは確かですが、影響が本格化するのは数年先と見るのが妥当でしょう。なお、返礼品を寄附額の3割以下とする「3割ルール」は今回変更されていません

制度の詳細は総務省のふるさと納税ポータルサイトでも確認できます。

【要注意】ふるさと納税の駆け込み寄附、その前に所得の見込みを

「10月のルール変更前に寄附を」という情報が増えています。ここで見落とされがちなのが、控除限度額はその年の所得が確定して初めて決まるという点です。9月時点の限度額は、あくまで見込みにすぎません。限度額を超えて寄附した分は税金から控除されず、全額が自己負担になります。

個人事業主の方は特にご注意を

会社員や法人役員の方は、給与額から年収がある程度読めます。しかし個人事業主の場合、事情が大きく異なります。

  • 事業所得は12月31日まで確定せず、9月時点では残り4か月が未確定
  • 大口の売上や設備投資(減価償却)で、所得が数十万〜数百万円動く
  • 小規模企業共済やiDeCo、国民健康保険料など、所得控除の側も年末まで確定しない

さらに問題なのが金額規模です。事業所得が数十万円ぶれるだけで、限度額は1万円単位で動きます。所得の大きい方であれば多少の誤差は吸収できるでしょう。しかし限度額そのものが数万円という水準の場合、見込み違いがそのまま自己負担に直結します。

なお、個人事業主の方は確定申告を行うためワンストップ特例が使えません。寄附金受領証明書を保管し、確定申告でふるさと納税を寄附金控除として申告する必要があります。あわせてご準備ください。

現実的な進め方

おすすめは二段構えです。9月時点では限度額を保守的に見積もり、欲しい返礼品の分だけ寄附する。残りは年末に所得の見通しが立ってから調整するという進め方です。ルール変更で影響を受けるのは一部の返礼品であり、すべてを9月中に使い切る必要はありません。

9月末時点で精度の高い試算をするには、1月から8月までの帳簿が締まっていることが前提になります。記帳が滞っている場合は、まずそこから着手しましょう。

【補足】住民税の特例控除に193万円の上限
令和8年度税制改正により、住民税の特例控除額に193万円(道府県民税77万2千円+市町村民税115万8千円)の上限が設けられました。適用は令和10年度分以後の個人住民税、つまり2027年(令和9年)中の寄附分からです。ただし上限に達するのは給与収入1億円規模の方であり、大半の寄附者には影響しません。

まとめ:ふるさと納税は限度額の確認から

2026年10月の改正で、ふるさと納税の返礼品の選択肢は狭まる方向に進みます。欲しい返礼品が決まっているなら、9月中に確保しておく判断には合理性があります。

一方で、ふるさと納税は「限度額の範囲内で行ってこそ得になる」制度です。所得が変動しやすい個人事業主の方ほど、寄附のタイミングよりも今年の所得見込みの精度のほうが結果を左右します。

なお、同じく2026年10月にはインボイス制度の経過措置も8割控除から7割控除へ移行します。法人・個人事業主ともに影響がありますので、あわせてご確認ください。

「今年の限度額はいくらか」「年内にできる対策はあるか」といったご相談は、税理士事務所WATTまでお気軽にお寄せください。直近の帳簿をもとに、無理のない範囲を一緒に確認いたします。