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2025.10.06

【第13回】会社を強くする100のチェックポイント ~LTV(顧客生涯価値)を理解しているか?~

経営を考えるうえで重要な指標のひとつに、**LTV(顧客生涯価値)**があります。
単発の売上だけを追うのではなく、「1人のお客様が生涯にどれだけ利益をもたらしてくれるか」を理解することが、安定的で持続可能な経営の第一歩です。


■LTV(顧客生涯価値)とは?

LTV(Life Time Value)とは、顧客が取引を始めてから終わるまでの間に、企業にもたらす総利益を指します。
単純に言えば、

「1人のお客様が一生のうちにどれだけの利益を生み出してくれるか」
という考え方です。

たとえば、

  • 初回購入額:1万円
  • 平均リピート回数:5回
  • 粗利率:50%
    であれば、LTVは 1万円 × 5回 × 50% = 25,000円 となります。

この数字を把握していれば、「1人のお客様を獲得するために、いくらまでコストをかけられるか」も明確に判断できるようになります。


■自社のLTVを把握できているか?

LTVを正しく理解し、計算できている会社はまだ多くありません。
特に中小企業では、「売上」だけに目が行き、顧客単位での価値を把握していないケースがほとんどです。

  • 自社の商品・サービスは、1人当たりどのくらい利用されているのか
  • 平均的なリピート回数はどれくらいか
  • 契約期間・継続期間はどの程度か

こうしたデータを整理することで、初めて自社のLTVが見えてきます。


■LTVを最大化するための取り組み

LTVは「一度の売上を増やす」よりも、長く・深く・信頼関係を築くことで高まります。
たとえば、次のような取り組みが有効です。

  • 定期購入・サブスクリプション化
  • 購入後フォロー・アフターサービスの充実
  • 顧客満足度の向上・ファンづくり
  • アップセル・クロスセルの提案
  • 顧客の声を商品改善に活かす

「リピートしたくなる会社」をつくることこそが、LTV最大化の本質です。


■LTVを理解すれば、投資判断が変わる

LTVを理解していれば、**「顧客獲得にいくらかけられるか」**が明確になります。
1人の顧客から得られる総利益がわかれば、広告費や人件費、営業活動に対する投資判断が戦略的にできるようになります。

LTVの視点を持たずに「広告費が高い」「営業に時間がかかる」と判断してしまうのは危険です。
LTVを基準にした経営判断こそ、継続的な成長を支える経営の考え方です。


■チェックポイント

✅ 自社のLTV(顧客生涯価値)を正しく理解しているか?
✅ LTVを算出するためのデータ(購入回数・契約期間など)を把握しているか?
✅ LTVを高めるための具体的な施策を実行しているか?
✅ LTVをもとに、顧客獲得にかけるコストや時間を設計しているか?


■LTVを意識する会社は、顧客と長く付き合える会社

一度きりの売上を追うのではなく、顧客と長く信頼関係を築く会社こそが強い会社です。
LTVを理解し、その最大化に取り組むことは、短期的な売上ではなく、長期的な経営の安定につながります。


更なる熱量を。
税理士事務所WATT 代表税理士 井深悠人